発達障害とは関係ない

発達障害01

アダルトチルドレンに悩まされている方の中には、「自分が発達障害ではないか?」と感じてしまう方もいるようです。
発達障害は脳が大きく影響するため、「自分は一生治らないのではないか?」と、さらに不安になってしまうこともあると思います。
一生、社会に馴染めないのではないか……そんな気持ちを抱えていると、もっと辛くなってしまうかもしれません。

しかし、ご安心ください。
アダルトチルドレンから解放される生き方は、あなたの手で作ることができます。

広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)や注意欠陥多動性障害(ADHD)を抱えている子どもが、児童虐待されるケースは多いです。発達障害を抱えたお子さんを育てていく過程で家族が孤立してしまい、機能不全状態に陥ってしまうケースがあるからでしょう。そのため、発達障害でもあり、アダルトチルドレンでもあるお子さんが多くなっているように感じるのかもしれません。

しかし、広汎性発達障害や注意欠陥多動性障害と、アダルトチルドレンは基本的に別物だと考えてください。たとえお子さんに重度の発達障害があったとしても、そのことで家族が団結し、絆が深まっていくこともあるからです。

ただし、子ども虐待そのものを、「第四の発達障害」とみなすこともあります。あいち小児保健医療総合センターなどで虐待児と長年関わってきた杉山登志郎さんによれば、第一の発達障害は精神遅滞や肢体不自由、第二は自閉症、第三は学習障害やADHD、そして第四が児童虐待だというのです。

なぜなら、虐待された子どもの多くが「反応性愛着障害」を引き起こしているからです。「反応性愛着障害」とは、幼少期に親とのふれあいが極端に少なく、人としての感情の基盤をうまく形成できなかったことをさします。

育ちの環境による影響

発達障害02

親との愛着が小さい頃に作られない場合、心や対人関係に影響を及びます。それだけではなく、あまりにも幼少期に過ごした環境が過酷だと、前頭葉などの脳の発達にも悪影響が与えてしまうことが指摘され始めています。具体的には衝動のコントロールが苦手、整理整頓が苦手など注意欠陥多動性障害(ADHD)に酷似した症状が出てしまうこともあるようです。

もちろん、本来は「アダルトチルドレン=発達障害」ではありません。しかし、小さい頃に愛着が形成されなかったことで、大人になってからも人とのコミュニケーションが苦手だったり、抑えきれない衝動性があったりと、行動の異常に悩まされているアダルトチルドレンが増えているようです。

先ほどの杉本さんは、児童虐待による反応性愛着障害を「育ちの障害」と呼んでいます。虐待という小さな頃に耐え難い経験をしてしまったことによって、成人後も身体やメンタルヘルスや行動に悩まされるという点では、限りなくアダルトチルドレンに近い部分があると思います。

ただし、小さな頃に得られなかった愛着関係は、大人になってから信頼できる人たちに囲まれることによって後から形成できるともいわれています。虐待を受けてしまった過去は変えることはできませんが、大人になってからできる限り安心できる環境に身をおくことがアダルトチルドレンには不可欠なのです。

参考文献:
杉山登志郎著 「子ども虐待という第四の発達障害」